グレアム・セイヤ オークランド剣道クラブ会長

平成29年6月7日
Mr Sayer
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オークランド剣道クラブ会長のグレアム・セイヤさんは、1979年、日本に滞在していたときに、元々行っていた柔道で怪我をしてしまい、柔道のリハビリとして竹刀を渡されたことをきっかけに剣道を始め、日本で剣道4段までを取得しました。1985年にNZに帰国した当時、NZ全国では3か所で数名の剣道講師が指導を実施しているに過ぎませんでしたが、1987年にNZ剣道連盟の会長に就任、その翌年韓国で開催された世界剣道選手権大会にNZ代表15人で出場し、1989年に他の三人のメンバーと共に創設したオークランド剣道クラブの会長に就任し、現在に至るまで両組織の会長を務めています。
 
オークランド剣道クラブは、毎週月、水、木、土、日曜日に行われる剣道の稽古に加えて、NZ内の他の剣道クラブとの交流、全日本剣道連盟が主催する国際研修に定期的に参加しているほか、静岡県剣道連盟と密接なつながりがあります。1995年から2007年まで、故井上義彦範士(8段)が直接来訪し指導を受けたこともあります。セイヤさんは2009年から2015年まで仕事などで日本に滞在した際に、同範士の道場で稽古を積み、数多くの挑戦の末、2015年6月に7段を取得することができました。クラブには現在86名が在籍し、日々の稽古を行っていますが、クラブ設立当初は、非常に高価な剣道の道具の入手に苦労し、全日本剣道連盟やライオンズクラブからの支援等も受けつつ、クラブ設立当初のメンバーの尽力もあり、1994年にニューマーケットに剣道道場を設置、さらに、2008年にはパンミュレに現在の道場を設置し、規模を拡大し、現在NZ内で最も大きい剣道クラブとして活動を続けています。
 
セイヤさんは、「子供や初心者向けのクラスも実施しており、オークランド剣道クラブは地域に密着したファミリー向けのクラブだと思います。また、一般的に剣道の女性参加率は25%程度と言われていますが、当クラブの在籍者の40%が女性です。剣道は多くの筋力が必要となる訳ではなく、女性でも気軽に参加できるもので、精神的な成長ができるのも魅力の一つです」と述べています。
 
主要な剣士(剣道講師)の努力により、インバーカーギル、クライストチャーチ、ネルソン、ウェリントン、ハミルトン、オークランド等に合計10個の道場が創設されました。高い技術を持った講師や厳しい稽古に打ち込むメンバーのお陰で最近10年間でNZは競技力を向上させ、2012年の世界剣道選手権イタリア大会ではベスト8、直近の2015年の同東京大会ではベスト16に入りました。現在7段を保持し、国際剣道連盟の会計職を務めるセイヤさんは「剣道はオリンピック種目ではないので、多くの人に剣道を知ってもらい、新たな参加者を獲得することが大変です。ただ、オークランド剣道クラブ設立当初のメンバーの4人は現在もクラブで活動を行っていますが、皆、剣道は人間形成という観点から非常に優れているという信念を持ちながら活動しており、これからも剣道を続けていきたいです」と述べています。

(追記) 2021/11/3
2021年11月3日、セイヤさんは、ニュージーランドにおける剣道の普及及び日本・ニュージーランド間の友好親善に寄与した功績により、旭日双光章を受章されました。
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