原田明子 国際交流基金日本語教育上級専門家

平成28年6月17日
国際交流基金日本語教育上級専門家の原田明子さんは2013年10月にニュージーランド(NZ)教育省に派遣され、オークランドをベースに、教育省の委託機関ILEP(International Languages Exchanges and Pathways)の日本語アドバイザーとして活動を続けています。

NZの教育機関では外国語学習は必修ではなく選択科目であり、以前は、外国語といえばフランス語と日本語の組み合わせが多かったのですが、最近はスペイン語、中国語、パシフィカ言語も増えており、外国語教育の多様化が進んでいます。教育省の統計(2014年度)によると、初等教育では日本語を教えている学校は193校、学習者数は1万9千人で、フランス語、スペイン語、中国語に続いて4位であり、中等教育では学校数188校、学習者数1万2千人で、フランス語に次いで2位ではあるものの、日本語学習者数の減少が続いています。高等教育機関においては、国立大学7校、専修大学1校、私立大学1校で日本語教育が行われていますが、同様に日本語学習者数の落ち込みが課題となっています。

このような状況の中で、原田上級専門家は、精力的にNZ全土の教育現場を飛び回り、学校訪問やワークショップを各地で主催しながら、小中高の日本語教師に助言、支援を行うことにより、NZの日本語普及に尽力しています。弁論大会の審査員やセミナー発表等を通じて、大学の日本語関係者とも深いネットワークを持ち、まさにNZにおける日本語教育には欠かせない存在となっています。

原田上級専門家は仕事のやりがいについて、「1人でも多くのNZ人が日本や日本語に興味を持ち、好きになってもらいたいと思いながら仕事をしています。仕事柄多くの日本語教師と会いますが、同じような情熱を持った人に会うと嬉しくなります。私自身はクラスを持っていませんが、教師研修やワークショップを通して、それぞれの教師が彼らの学生にいい影響を与えていくことを確信しつつ、日本語教育の推進、発展のために働くことに意義を感じています。いまだにワークショップの前は緊張しますが、「為になった。早速明日の授業で使ってみる」、「楽しかった、是非また来てください」、「これ面白い、きっと生徒たちは喜ぶと思う」等のコメントをもらうと、準備の苦労も吹き飛びます。やはり、先生や学生が喜んでくれる姿が一番の励みになります。1校でも多くの学校で日本語が教えられるようになることを目指して活動を続けます。」と述べています。